交通事故の示談
「示談交渉」とは、被害者側と加害者側で、損害賠償額を話し合うことによって決めることです。
交通事故によって生じた損害は、お金を支払うことで最終的に解決していきます。
交通事故の被害者が、示談交渉でとらなければならない措置は、損害賠償金額を算定することと、算定の根拠を証明することです。
この2点がしっかりできていれば、極端に低い損害賠償額で示談が成立してしまうようなことにはならないでしょう。
損害賠償額を算定する際には、いくつかの問題が起こってきます。
被害者にとっては、すべての損害を賠償してもらいたいのは当然ですが、それに対して、加害者にとっては、できるだけ支払う金額を抑えたいはずです。
そのため、たいていの場合、被害者が求める損害賠償額と、加害者が承認する損害賠償額には、大きく差が生じてしまいます。
それでは、損害賠償額を算定するときのポイントを挙げます。
損害賠償額を算定するには、被害者の「基礎の事情」によって算定していきます。
「基礎の事情」とは、被害者はどれくらいの収入か、後遺症が残った場合の程度はどれくらいか、過失割合はどれくらいか、慰謝料の額はどれくらいが妥当か、ということです。
被害者側と加害者側が、それぞれ自分が有利となる条件を採用しようとするので、双方で損害賠償額の算定に差が出てくるというわけです。
被害者としては、算定した損害賠償額が妥当であることを示す証拠を、しっかりと主張することで、有利に示談交渉を進めていく必要があるのです。
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示談交渉開始の時期
交通事故で被害者となっても、急いで示談交渉を行なわなくても心配いりません。
また、加害者側の保険会社が、示談金額を提示してきても、それに納得がいかない場合は、さらに交渉を続けていきましょう。
もし、交渉が長期間に渡りそうな場合は、行政書士などのような専門家に相談するのも解決へ導く手段です。
死亡事故に遭った場合、示談交渉を開始するのは、気持ちが落ち着いてからで良いです。
ショックが大きく、示談交渉を考える場合ではないと思うので、初七日が終わる頃から始めていきましょう。
傷害事故の場合は、ケガや傷害が治ってから始めていきましょう。
例えば、ケガの程度を軽く見込んで、保険会社と示談交渉を一度締結してしまった場合、実際のケガの程度が見込み以上だったとしても、原則的に再び示談を行なうことはできません。
後遺障害事故の場合は、もう治療を続けても良くならないことがわかってから、示談交渉を始めましょう。
そのような状態を症状固定といい、つまり後遺障害が残ったことを意味します。
後遺症が残ることを考慮せずに、治癒することを見込んで、症状固定の前に「傷害事故」として示談を締結してしまうことがあります。
そして、後遺障害が残ることが後になってわかっても、再び損害賠償金を求めることはできない場合があります。
もし、加害者側が示談交渉について何の連絡もない場合は、被害者側から示談交渉を行なうように促さなくてはなりません。
内容証明を加害者に郵送して、法的手段も検討することを伝えましょう。
正しい内容証明の書き方などは、行政書士などの専門家に相談しましょう。
そこまで行なっても何も言ってこなければ、裁判などの手段をとることになります。
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損害賠償額を決める査定基準
交通事故に逢って、損害賠償を請求したいけど、その計算の仕方や実際に請求できる金額がわからない場合がほとんどだと思います。
また、保険会社から提示された損害賠償額に納得できなかったり、その額が本当に妥当なのかわからなかったりする人は多いでしょう。
交通事故の損害賠償額を算出するための査定基準には、「自賠責保険基準」、「保険会社基準」、そして「裁判所基準」または「弁護士会基準」の3つがあります。
自賠責保険基準の補償額が最も低く、裁判所基準が最も高い額となっています。
どの基準で示談が行なわれるかによって、被害者に支払われる損害賠償額は、大きな差が生じてきます。
被害者にとっては、当然最も高く算定される裁判所基準によって、損害賠償金を請求していくと思います。
それとは逆に加害者側は、支出をできる限り抑えたいので、自賠責保険基準を元にした金額で示談を進めようとしてきます。
被害者としては、交通事故の被害に逢ったのだから、3つの基準に戸惑うことなく、もっとも有利となる裁判所基準によって、損害賠償金を算出し加害者に請求するのが望ましいです。
また、保険会社基準に関しては、一般的に公開されていないのですが、自賠責保険基準とだいたい同等のケースが多いようです。
保険会社から、示談金の全額を振込むから、印鑑を示談書に押印するように言われても、すぐに承諾しないように注意してください。
ちなみに自賠責保険基準は、示談交渉しなくても請求すれば受け取ることができます。
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人身事故の損害賠償
人身事故による損害賠償の対象となるものには、「財産的損害」と「精神的損害」があります。
「財産的損害」は、さらに「積極損害」と「消極損害」に分けられます。
「積極損害」は、事故によって直接被害者が出費した損害に当たります。
「消極損害」は、事故に遭うことがなければ得られるはずだった利益のことをいい、「積極損害」よりも大きな金額になります。
それでは、死亡した場合における損害賠償の内容を説明します。
「積極損害」の医療関係費は、死亡するまでにかかった入院治療費などです。
葬儀関係費は、死体運搬費や葬儀費、火葬代などです。
供養費は、読経や供物料(初七日から百日忌まで)で、墓石の購入費は認められていません。
弁護士費用は、裁判所が認めている損害賠償額の約1割です。
「消極損害」の逸失利益は、これから当然得られるはずだった利益です。
「精神的損害」に当たる慰謝料は、精神的な苦痛による損害賠償です。
被害者の年齢や社会的な地位、一家の支柱となる人物か、高齢者か、などを考慮して損害賠償額が違ってきます。
次に、ケガを負った場合の損害賠償です。
「積極損害」の医療関係費には、治療費、入院費、通院のための交通費などが含まれます。
後遺障害が残った場合は、将来的な介護料や手術費、義足や義眼を作った場合の費用、そして家屋や自動車を改造するための費用です。
「消極損害」の休業損害は、ケガなどでやむを得ず休業した期間に得られなかった給与などの損害です。
逸失利益は、後遺障害が残った場合、労働能力が低下したことで、得られなくなってしまった利益の損害です。
その後遺障の程度が決めら、年間減収額などを元に算出されます。
「精神的損害」の慰謝料は、後遺障害が残る場合は、労働能力喪失表からその程度を決め、算定されます。
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過失相殺・過失割合
一般的に、自動車を運転する人の不注意のことを、「過失」といいますが、運転者のほかにも、歩行者や自転車などのような交通弱者にも、いろいろな過失が考えられます。
たとえば、赤信号を待って停まっていたら、後ろからいきなり追突された場合は、100%加害者側の過失となります。
歩行者が赤信号であるのに関わらず交差点を渡り、事故に遭ったという場合は、歩行者側に大きな過失があります。
交差点などのような出合い頭での事故は、加害者と被害者双方の不注意と考えられるので、双方に過失があることになります。
加害者と被害者の過失の程度を、割合で表したものを「過失割合」といいます。
また、加害者と被害者に過失があった場合、全ての賠償責任を加害者が負担するというのは、公平とはいえません。
被害者側にも過失がある場合には、公平に損害を分担するために、被害者側の過失割合に応じて、損害賠償額を減額するこがあります。
このことを「過失相殺」といい、民法で取り扱いについて定められています。
過失割合は、過去の裁判において示された判例を元として、だいたいの基準が決められています。
このような判例は、示談交渉を展開する際に、損害保険会社が過失割合を決めるために利用されています。
また、裁判になった場合も、過失割合によって損害賠償金に影響してきます。
交通事故で必ず問題になるのが、この過失割合と過失相殺です。
過失割合は、一般的な目安に過ぎないので、まずは事故の詳しい状況を把握し、この目安を参考にすることで、加害者と被害者が納得できるまで話し合うことが大切なのです。
交渉がうまく進まない場合は、弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。
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加害者の責任
交通事故を起こした加害者には、3つの責任が発生します。
1つ目は、「民事責任」です。
加害者が被害者に与えてしまった損害を、賠償しなければならないという責任です。
物損事故の場合は、自動車などの修理代を賠償すれば良いのですが、人身事故の場合は簡単には解決しません。
被害者の治療費や入院費、休業補償などを負担し、後遺障害が残った場合は逸失利益や慰謝料を補償しなければなりません。
死亡した場合は、葬儀費用や逸失利益の補償、慰謝料などを支払う義務があります。
2つ目は、「刑事責任」です。
運転中の不注意で事故を起こして相手にケガを負わせてしまった場合、刑法上の罪を犯したとして「業務上過失致傷罪」、相手を事故によって死亡させてしまった場合は「業務上過失致死罪」、傷害事故の場合は「業務上傷害罪」として問われます。
また、事故の原因が酒酔い運転であったり無免許運転だったりする場合や、ひき逃げなどをした場合は、道路交通法違反によってさらに重い刑罰が加わることになります。
人身事故において、特に悪質だと考えられる飲酒運転で死亡させてしまった場合は「危険運転致死傷罪」に問われることになります。
さらに悪質な事故には「殺人罪」に問われる場合もあります。
3つ目は、「行政責任」です。
これは、事故を起こした加害者が、公安委員会から運転免許の停止や取消しなどの行政処分を受けなければならないことです。
死亡させてしまった場合は、最低13点の減点となり免許停止となります。
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加害者の義務
交通事故を起こして相手に被害を負傷させてしまい、通院や入院などによって治療を必要とする人身事故や、人的な被害のない自損事故を起こした場合、加害者はさまざまな措置をとらなければなりません。
事故を起こしたら、まず自動車を安全な場所に停めて、エンジンを切ります。
自分はケガを負っていなくて、動くことができる場合は、被害者を救護しましょう。
被害者が軽いケガで歩けるようなら、安全な場所へ移動してもらいましょう。
重傷の場合は、体をできるだけ動かさないようにしてもらい、すぐに救急車を呼びましょう。
また、被害者が話せるような状態なら、氏名や住所を本人に確認しておきましょう。
加害者は、未然に二次被害を防止するための措置を取る必要があります。
警察が事故状況を確認するので、事故を起こした車は、危険でない限り、そのままの状態にしておいてください。
加害者は、すぐに警察へ連絡して、事故について報告する義務があります。
そして、事故の事情聴取を素直に受けてください。
また、そのときに、事故を起こした現場の住所を聞いておきましょう。
人身事故で被害者が病院に搬送された場合は、搬送先の病院も教えてもらってください。
保険会社にも連絡しなければなりません。
自動車保険の契約をしている保険会社か、損害保険代理店に連絡して事故の報告をします。
もし、報告しなかったら、保険金を支払われなくなることもあります。
事故の目撃者がいたら、氏名や電話番号など連絡先を聞きいておきましょう。
可能なら、目撃者に警察で証言してくれるようにお願いしましょう。
事故現場での状況確認を終えたら、被害者が搬送されている病院へ行きましょう。
被害者へのお詫びとお見舞いをし、話せる状態なら、治療費などの支払いについて話し合ってください。
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自賠責保険とは?
「自賠責保険」と「任意保険」の大きな違いは、強制的に加入する必要があるか、法律で決められているかどうかです。
自賠責保険は、「強制保険」と呼ばれることもあるように、自動車を運転するには、必ず自賠責保険に加入していなければなりません。
自賠責保険には限度額が定められています。
支払いの限度額は、死亡事故の場合は最高で3,000万円、後遺障害の場合は3,000?4,000万円、ケガなど負傷した場合は120万円の補償金額となっています。
事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者それぞれに限度額までの補償金が支払われます。
また、保険期間中に何度も利用することになっても、支払われる金額が減ることはありません。
さらに、自賠責保険は人身事故の場合のみ補償され、物損事故の場合は補償されません。
自賠責保険は強制加入ですが、もし加入していない場合は、罰則を受けなくてはなりません。
ただ、自賠責保険だけに加入していても、不十分な点がいくつかあります。
自賠責保険による保険金は、一定の限度額しか支払われません。
実際のところ、死亡事故や後遺障害の場合、自賠責保険の限度額では、十分でないケースがほとんどのようです。
また、負傷した場合には、最高でも120万円しか支払われないので、当然それだけでは不十分だと思います。
自賠責保険とは、自動車事故で相手を死傷させた場合のみ補償する保険です。
そのため、運転者が負傷した場合、物損事故の場合などは、全く補償されないのです。
自賠責保険だけでは補償されない事故は、いつ起こるかわかりません。
だから、それに備えて任意保険へ加入する必要があるのです。
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任意保険とは?
任意保険とは、自動車の持ち主が任意で加入できる保険のことです。
任意保険の加入は、法律では義務付けられていません。
しかし、自賠責保険と比べると、あらゆる自動車事故に対応できる保険なので、ぜひ加入しておきたいものです。
自動車任意保険は、7つの保険によって構成されています。
それでは、その内容いついて説明します。
「車両保険」とは、契約している車が損害を受けた場合に補償してくれる保険です。
「対人賠償保険」では、自動車事故によって他人が負傷した場合の治療費や、死亡した場合の損害賠償責任金額が、自賠責保険だけでは足りない金額を負担します。
「対物賠償保険」とは、自動車事故によって、他人の車や建物などに損害を与えた場合に、その損害を補償する保険のことです。
「自損事故保険」は、自動車の所有者や運転者の過失によって起きた事故によって死傷した場合、自賠責保険では補償を受けることができない人に支払われる保険です。
「無保険車障害保険」は、保険に未加入の車に衝突されたり、当て逃げされたりして、運転者などが死亡または後遺障害を負い、相手から損害補償を十分に支払われない場合に補償される保険です。
「搭乗者障害保険」は、自動車事故によって搭乗者が傷害を負った場合、その人の通院や入院にかかる費用が支払われます。
「人身障害補償保険」は、自動車事故によって死傷した場合、その責任や過失割合とは関係なく、損害額が支払われる保険です。
また、歩行中に逢った自動車事故でも保険金が支払われます。
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交通事故問題と弁護士
大事故を起こした場合は、損害賠償額も高額となり、相手との示談交渉もなかなか進まないと思います。
そのようなことで、悩んでいるひとは、専門家である「弁護士」に相談しましょう。
法律のプロである弁護士は、どんなに難航している交渉でも、有利な方向へ進めてくれるはずです。
では、弁護士の力を借りるときは、どのような場合でしょう。
相手側は弁護士に任せていて、自分だけでちゃんと解決できるか心配な場合。
ちゃんとした証拠があるに、相手が要求を聞き入れようとしない場合。
相手に裁判を起こされてしまった場合。
過失割合について折り合いが悪い場合。
事故によって後遺障害を負ったのに、納得のいく等級が認められなかった場合。
一切相手が話を聞き入れず、一方的に自分が加害者だとされてしまった場合などです。
それでは、弁護士を依頼すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
相手との交渉をすべて代理で行なってくれるので、不安や心配を取り除いてくれます。
裁判を視野に入れた大局的な示談交渉が望むことができます。
依頼者が加入している自動車保険や裁判によっては、弁護士を依頼する費用の一部が負担されることがあり、費用を削減することができます。
また、デメリットとしては、弁護士を依頼する費用が、一般的に高額だとされていることです。
弁護士を依頼するときは、特に交通事故問題を専門としていて、今自分が困っている内容について、相談にのってくれる弁護士を選ぶことも重要です。